ふっと懐かしさを感じる器たち
2021.06.30
日常使いの丈夫な食器、波佐見焼。
焼き物の名産地、長崎県波佐見町の波佐見焼(はさみやき)は、長崎県東彼杵郡波佐見町付近で産する陶磁器です。今から約400年前、藩主大村氏が朝鮮から連れ帰った陶工が波佐見町村木の畑ノ原、古皿屋、山似田の3か所に連房式階段状 登窯を築き、やきものづくりを始めました。これが波佐見焼の始まりだそうです。
波佐見焼をイメージすると、染付と青磁が思い浮かびますが、初めは施釉陶器を生産していました。その後、村内で磁器の原料が発見され、しだいに染付 と青磁を中心とする磁器へ移行したそうです。江戸後期には染付の生産量が日本一の特産品になりました。
製造されるほとんどは日常食器で、丈夫で壊れにくい、厚手で素朴な製品が多くみられます。この波佐見焼の食器づくりは、庶民の食文化を大きく変え、生活を豊かに彩り、私たちの暮らしになくてはならない身近なものになっていったそうです。
創業から一貫して手描きにこだわる、「翔芳窯」の素朴で温かい器たち。
波佐見で生まれ育った翔芳窯さんの代表、福田茂喜氏は昭和47年より焼物生地成型をはじめました。その後、伝統工芸士中村平三氏に師事。作陶のノウハウを学び、平成2年に翔芳窯を開業。こだわりの職人技を駆使し、素朴で温もりを感じる器づくりを行なっています。
また、翔芳窯さんは創業から一貫して手描きにこだわり続けています。「自然をモチーフに絵付け技法の特性を生かしながら様々な表情を器に吹き込む。」とのこと。ふっと懐かしさを感じるものからモダンで新鮮味あるものまで幅広く制作されています。
「九州の旅とお取り寄せ」でおすすめしている、愛嬌のある鶴と亀がなんとも素敵な「kotohogi」や深海のような濃い藍色が特徴の「琉璃」をみてもわかるように、翔芳窯さんの焼き物は、ひとつひとつが手づくりのため、温かみがあり、ほっこりとした気持ちにさせてくれます。忙しい日常の中で、使っているとほっとするような瞬間をもたらしてくれそうです。